密閉型

このページでは、密閉型スピーカーを作ってみましょう。


密閉型スピーカーは、ユニットを付けた状態で、他に全然隙間(穴)のないスピーカーです。
平面バッフル形スピーカーと比較すると、ユニットの前後に干渉が完全に遮断されます。
そのことにより低域特性が変化します、最低共振周波数が高くなってしまうのです。その特性をちょうどいいところへもってくるために考えないといけないポイントが内容量です。

  • エンクロージャーの容量

エンクロージャーの大きさは、使用するユニットに応じた適正な内容量が必要です。
「第1図」のように適正な容量よりも大きくなると、低域の量感が不足します。逆に小さいと制動が効かず、低音がのびません。
容量の計算は、多少面倒です。
ここでは、計算方法のことは考えず、ユニットに同封されている特性表の適正容量を基準にして作ってみましょう。

容量さえ合わせれば、形は自由に作ってかまいません。ただし音は同じではありません。
「第2図 (a)」のように、Boxの横幅が広く奥行きが浅い場合(スピーカーを正面から見ると大きくて奥行きがない場合)は、ゆったりとではなく歯切れのよい音。
「第2図 (b)」のように、(a)とは反対に横幅が無く、奥行きがある場合(スピーカーを正面から見ると小さいが、奥行きがある場合)は、 歯切れは悪くなるが、ゆったりとした柔らかい音になります。
そのことを考えながら、自由にデザインすればいいわけです。

  • 吸音材

密閉箱の場合には、吸音材は、バッフル板(スピーカー・ユニットを取り付けている面の板)の背面以外は、全面に取り付けるのが普通です。
その量は、多すぎても少なすぎてもいけません。いいかげんそうですが、音を聞きながら増やしたり減したりするのがベストです。
吸音材の働きと張り方は、ヒントのページをご覧下さい。

  • 製作例

小型密閉箱の製作例です。「第3図」
「第4図」がスピーカーのサイズ、「第5図」が板のけがき図です。
あくまでも1例ですので寸法も正確に同じに作る必要はありません。
使用材料は、20mm厚の檜です。奥行き、幅、高さ、どの寸法も使う板のサイズで切りやすいように作ってかまいません。
スタンドの部分も40mm厚の檜を丸く削って使っていますが、形、厚さすべて自由です。⑦も直径30mmの丸棒を50mm使っていますが、これも好みです。
スピーカー・ユニットは松下電器(Technics)製の 7F10 です。適正内容量:0.8㍑

 

  • 組み立て方

両サイドの板を最後に取り付けるようにして箱を作り、足を付けるだけです。少し大変ですが、スピーカー・ケーブルは 「第3図」のスピーカーの背面を見て分かるように、スタンド部分から出すとスピーカーが安定します。
吸音材は、小さなスピーカーなので、10cm程のグラスウールを中に入れれば大丈夫です。


【まとめ】
密閉箱は、きまった容量のBoxを隙間無く作ることが出来るか!! にかかっています。
奥行き、幅、高さの比率が出来るだけ不均等にすることが、定在波を減少させるために必要です。
スピーカー・ユニットに背面からの空気圧がかかるために、量感は少ないけれど、締まりのある低音が売りのスピーカーです。

 平面バッフル 位相反転型 バックローディング型 マルチ・ウェイ  ヒント